オススメの本 (3)  重松清「定年ゴジラ」 (改訂)

定年ゴジラ (講談社文庫)定年ゴジラ (講談社文庫)
(2001/02)
重松 清

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オススメどころか、これは大好きな物語である。
今回は布教活動のような気分だ(笑)



重松清は、言うまでもなく現代の人気作家のひとりであり
ファンも多い。この「定年ゴジラ」は彼の初期の代表作なのだが、
他の人に重松さんの好きな作品は?と尋ねると意外に挙がらない。
「エイジ」や「ビタミンF」、「きよしこ」も「疾走」もみんな
いい小説なんだけど。自分の場合は、初めて読んだ「定年ゴジラ」が
一番の作品。それ以降も文庫化された作品はほとんど読んでいるが、
やはりこの作品が好きである。


さて、この物語の主人公は定年後の第2の人生を歩み始めたばかりの
お父さんたちである。会社という居場所を失い、自分の存在意義を問い
ながら、毎日をもがく彼らたち。そんなお父さんたちの人生に、奥さん
たちの人生や、子どもたちの人生が交錯し、物語が織り上げられていく。
自分とは遠い世界を描いたこの物語に、ここまで心を掴まれるとは
全く思っていなかった。


この定年ゴジラだけでなく、重松清が描くのは家族との、社会との、
地域との、いろんな間(はざま)で揺れ動く人間だ。様々な事情に
翻弄され、迷いながら、自分を探しながら、制御を失いながら、
そして誰かを許しながら、歩いていく人々の姿。そんな人々の日常に
寄り添い、まるで守護霊のような大きな優しさで見つめている。
自らを小説家ではなく物語作家と語るところにも、彼の作家としての
スタンスが見えていると思う。


ところで、重松さんの表現の特徴というか、描きたい世界だと思うのだが、
「コトバにできない気持ち」というものがある。
言えなかったコトバが苦いコーヒーとともに胸の内に流し込まれたり、
伝えられなかった想いが野球場のファールグランドへ消えていったり…。
そんなもどかしさや、想いの深さが、見事な比喩で描かれている。

シンプルな言葉だけど、こんなにも深く描けるんだ。
コトバって、すごいな。



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定年ゴジラ定年ゴジラ
(1998/03)
重松 清

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  • 2007/12/24 11:57
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